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「4つの再構築」
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「4つの再構築」
〜わたし達の未来のために〜

 高度経済成長の時代には、1ドルが360円でした。極端な円安に助けられ、繊維などの軽工業製品や、鉄鋼、造船などの重工業製品が世界中で売れました。やがて円は変動相場制になり、円高が始まり、バブル期の最初の頃には、1ドルが200円。高性能で高品質の電気製品が、これまで輸出されていた製品にとって変わりました。さらに、この円高によって、誰でもが、気軽に海外へ旅行できるようになりました。輸入される製品も増え、わたし達の身の回りには、どんどん海外製品が増えてゆきました。

 やがて、1ドルは100円台になりました。進行する円高を受けて、産業界は高付加価値戦略に進みました。他に真似のできないような高性能、高品質の製品なら、高価格でも売れる。そう見込んだからです。そして、今、1ドルは90円前後。高付加価値戦略は行き詰まりを見せています。世界の消費者は、そこそこの性能で、そこそこの価格の製品を求めるようになってきたのです。

 オンリーワン、ナンバーワンは、どんな企業でも、どんな労働者でも実現できるわけではありません。そうでない企業、そうでない労働者が大多数なのです。ですから、高付加価値戦略でやっていける企業や労働者の稼ぎで、その他の大多数が暮らしを支えて行くことはできません。その現実を、しっかりと見据え、わたし達は、進むべき道を選ぶ必要があります。

 そこで、わたしは、ここに、4つの再構築を提案します。わたし達の未来のために。


1.国土開発と環境保全の再構築 −流域保全による天然資源の再生産能力の回復を−

 一次産業、特に農林漁業では、天然資源の再生産能力を利用することができます。天然資源の再生産能力に依存する割合が大きく、その他のもの、例えば農薬であるとか、肥料であるとか、燃料などの使用が少ないほど、生産効率は上がります。生産するために払うお金が少なくなるからです。もちろん、ただ自然に運命を委ねるだけならば、高い生産量を維持することは難しいですし、天候などで出来高が左右されます。労力も必要になります。しかし、旬のものを旬に収穫する、例えばこれだけでも、生産効率は上がります。

 天然資源の再生産能力を高め、それを利用し、燃料などの使用を極力控えるようにする。そうすれば、一次産業の生産効率は上がります。もちろん、今まで通りに、燃料などをふんだんに使ったやり方でも十分に稼いで行ける、そんな地域は、そのままでいいのです。しかし、天然資源の再生産能力を高めようとするなら、狭い地域の努力で実現はできません。山林から沿岸域までの流域を総合的に保全してゆく、そうすることで初めて、林業資源、農業資源、漁業資源の再生産能力を、高めることができるからです。

 これまで、山林や、河川や、湖沼や、沿岸域の開発と保全は、それぞれバラバラに行われてきました。その結果、ああゆる分野で、天然資源の再生産能力の低下を招いています。しかも、それに対して行われなければならない環境保全までが迷走しています。すべき論がまかり通り、成果の無い施策に、お金と労力が注ぎ込まれています。現在、このような状況にある国土の開発と、環境保全を再構築し、流域保全を実現する必要があります。


2.産業構造の再構築 −働き方の見直しこそ産業構造を転換させる−

 産業構造を、労働集約的な産業中心から、知識集約的な産業中心へと転換させるべき、そう主張する人がいます。確かに、それはその通りなのでしょう。しかし、どんな産業でも、知識は必要です。そして労働力も必要です。みなが、自分自身の位置と役割をよく考え、その役割を果たそうとしたらなば、そして、そのために必要な知識を、経験や継承によって蓄積していこうとしたならば、自ずと、あらゆる産業が知識集約型になってゆきます。

 産業の中心を、金融や、サービス業中心に転換してゆくことが、労働集約型から知識集約型への転換ではないのです。働き方こそを、転換して行かなければならないのです。産業構造の転換とは、産業分野を再編し、中心となる産業を変えることではありません。働き方を見直し、それぞれの産業分野で、それぞれの構造を転換して行くことこそが、産業構造の転換なのです。


3.労働力の再構築 −就労環境下での実務教育の場を復活させる−

 現在の我が国では、労働者全体に占める非正規雇用労働者の割合が、3分の1に達しています。雇用者は、労働力の流動化を求めました。必要な時に、必要な場所で、必要な労働力、すなわち即戦力となる労働力の供給を求めたわけです。

 ならば、例えば派遣会社に、就労環境下での実務教育の場を用意しているところが、どれだけあるのでしょうか。そもそも、そのような、就労環境下での実務教育の場を、コストとして切り捨ててきた結果が、今なのです。このままで、即戦力となる労働力の供給は行き詰まることになるでしょう。労働力不足は、少子高齢化だけによってもたらされるわけではないでのす。

 産業構造に対して、労働力の分布をマッチングさせることが、経済の安定にとって不可欠です。そしてそためには、雇用者が、リスクとコストを覚悟して、就労環境下での実務教育の場を、再構築する必要があるのです。


4.消費行動の再構築 −わたし達の消費行動こそが、わたし達の未来を作る−

 わたし達の身の回りには、海外の製品や、海外から輸入された材料を含む製品が溢れています。それらの製品が、国内では調達できないようなものならば、その購入もやむを得ないことです。しかし今、わたし達の目の前に、国産品と輸入品の同じ製品が並んでいたならば、わたし達はどちらを選ぶべきでしょうか。

 次々と新製品を開発し、それが売れ続けていた間は、身の回りに輸入品が溢れるようになっても、我が国の経済は成長を続けることができました。その分、外需をどんどん増やしていけたからです。しかしそれも、だんだん難しくなってきています。

 今、わたし達の目の前並ぶたくさんの製品やサービス、そのどれを手にすれば、わたし達にとって、より良いのか。わたし達は、目の前にある製品やサービスの背景をよく知り、よく考えなければならないのです。そしてそのような、わたし達の行動そのものが、わたし達の未来を作ってゆくのです。




2009年08月28日 辻井 豊


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