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「1日30円で日本の森を救える?」
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「1日30円で日本の森を救える?」
〜小額の負担が大きな力になる〜


1.はじめに なぜマイ箸が生まれたか

 近頃、割り箸に代わって、プラスティックの箸を置く外食チェーン店が出てくるようになりました。コンビニでも竹製の割り箸を使うところや、これまでのように買ったお弁当やカップラーメンの数だけ割り箸を渡すようなことはせず、何膳必要か尋ねてくるところが出てきました。
 かつて、日本で使われている割り箸の多くが国産でした。それが、外食産業やコンビニが隆盛するにつれ、安い輸入割り箸を使うようになりました。主に中国から輸入されるそれに圧され、国産割り箸の使用量は減ってゆき、国内の割り箸産業も大打撃を受けました。
 ところが、割り箸用に伐採される木々の、余りの多さに驚いた中国政府は、割り箸の輸出に制限を設けるようになりました。これに慌てた外食産業やコンビニ業界が、最初に述べたような方策をとるようになったのでした。国産割り箸が高いためと、その割り箸を生産する国内の割り箸産業が壊滅していたために、今更国産に切り替えることは難しい状態になっていたのです。このごろ流行りのマイ箸も、この流れの上にあります。


2.放置される間伐材

 国産割り箸は間伐された木を原料にしてきました。間伐は、材質のよい木材を育てるため以外にも、山林そのものを維持するために必要なことです。ですから、安い外材が輸入され、国産の木材が売れなくなっても、間伐を止めるわけにはいきません。それゆえに、国産割り箸が売れなくなることは、山林の維持にまで支障を及ぼす場合があるのです。もちろん、全ての種類の木が割り箸に使えるわけではありません。また、売れなくなった材木の出荷を諦めた山林でも、国や地方自治体の補助を受けて、間伐が続けられているところがあります。しかし、間伐材の需要が減ったために、伐採された木々が放置され、かえって森を荒らす原因となっているところも出てきています。


3.1日1食30円の割り箸代が山林を救う?

 日本人の1割が、1日あたり1回は、外食するなりコンビニなどのお弁当を食べるとします。もし、そこで、1回30円を割り箸代として負担するとどうなるでしょうか。1膳20円(*1)もあれば、国産の割り箸を購入することができます(*2)。あとに残った10円は、1日あたりで合計すると1億3千万円になります。1年間では、およそ475億円、この金額は林野庁の年間予算の1割に匹敵します。これだけの財源があれば、間伐材の価格に影響している林道の整備や、伐採機械の購入にも充てることができます。そしてそれは、何も割り箸用に木々が切り出される山林だけに限定する必要もありません(*3)。もちろん、外食チェーン店やコンビでは、国産割り箸を使用することが前提です。産地偽装はもってのほか。許認可権限で無駄飯を貪る天下り法人を作ってもいけません。


4.おわりに 小額の負担でも大きな力になることが知られていない

 実は既に、割り箸1膳10円を負担してもらって、それを山林の維持に役立てようとする運動が存在します。これは地域限定の運動ですが、スケールアップして全国規模で行えば、我が国の林業環境を大きく変える可能性があります。小額の負担が、大きな力になるのです。そして、この割り箸代の負担と同様なことが、他にもあります。それは米飯の消費を増やすことです。
 現在の我が国の米飯消費は、1960年代の半分になっているそうです。その消費の低迷が、食管法の廃止による米価の市場連動と相まって、米作農家の収入を激減させてしまいました。その結果、耕作放棄地が増え、里山環境の荒廃にも拍車をかけています。ここでもし、米飯消費を以前のレベルに戻すことができたならば、それは米作農家の為だけでなく、里山環境の保全にも大きな力となるでしょう。もちろん、米飯消費が増えた分だけ、他の食品の消費は落ち込むことになります。その結果、消費の落ち込んだ食品に関わる産業には、マイナスの効果を及ぼすことも忘れてはなりません。
 割り箸代の負担や、米飯消費を増やすことは、我が国の一次産業である、林業や農業の一助となるだけでなく、環境保全にも役立ちます。山林の保全は、今流行りの二酸化炭素の吸収量を増やしますし、米作農地の維持は、里山環境の保全を通じて、これも今流行りの生物多様性の保全につながります。ところが、ここで述べたようなことは、一般にはあまり知られていません。運動としての盛り上がりもありません。
 昨今、地球温暖化防止キャンペーンが大々的に行われています。特に、マスメディアでの取り上げ方は、過熱しているのではと思えるほどです。あらゆる番組で地球温暖化を取り上げ、イベントには有名なアーチスト達がこぞって参加する。CMも頻繁に流れ、昨年にはテレビ放送の停止まで実施されました。

 もし、地球温暖化と同じ規模のキャンペーンが、割り箸代の負担や、米飯消費の増大について行われたらどうでしょう。その余りの身近さ、そして現実味を肌に感じたわたし達は、いったいどのような行動にでるのでしょうか?


脚注:
(*1.国産割り箸の価格は3円程度と言われています)
(*2.国産割り箸の重量は1膳あたり5グラム程度です、国民の1割が1日1膳割り箸を使用すると年間およそ2万3千トンの間伐材需要が生まれます)

(*3.放置される間伐材は年間800万トンに達するそうです、ですから割り箸による需要だけで放置される間伐材は減りません、間伐材の価格を押し上げている原因を改善する必要があるのです)



2009年06月30日 辻井 豊
2009年06月30日 18:30 国産割り箸の価格を脚注に訂正追記、割り箸重量に関する記述を脚注に追記 その他文章整形 辻井 豊
2009年07月01日 02:30 1年間に放置される間伐材に関する記述を脚注に追記 その他文章整形 辻井 豊

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