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「産業の発展によって環境が保全される そんな仕組みを実現できるか? その2」
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「産業の発展によって環境が保全される そんな仕組みを実現できるか? その2」
〜効率的な生産の実現〜


1.はじめに

 農林漁業の維持と振興が、環境保全に強く結びついていることを、先日述べました。この三つの産業は、自然界の再生産能力を利用できます。ですから、環境保全によって、農林漁業に必要な自然界の再生産能力を向上させることができるなら、この二つを正方向の循環として結びつけ、互いに高めあう効果を期待できるからです。では他の産業の場合はどうでしょうか。
 農林漁業以外の産業は、ほとんどの場合、天然資源の一方的な消費を多かれ少なかれ行います。産業の維持と振興が、自然界の再生産能力の向上に結びつくことは難しく、多くの場合は損なう結果を招いています。例えば売上高に課税して、その税収を環境保全に振り向けたとしても、環境そのものか、農林漁業製品を原材料として使用する分野にしか役立ちません。ならば、この産業の分野で、わたし達や、わたし達の子ども達の為に、いったい何を選択すればよいのでしょうか。
 とても消極的な印象になりますが、この分野では、天然資源の一方的な消費を少しでも緩めて、なるだけ長く天然資源を利用できる道を選ぶしかありません。ですが、それがいかに難しいことか。

 少ない天然資源で、効率よく製品やサービスを提供する。しかし、一方的な消費はゼロにはならず、いつかは枯渇する資源が必ず出てきます。そうなると、枯渇した資源を他の物で代替するか、それが叶わなければ、新たな新天地を求めるしかありません。そんな遠い未来は一先ず置いて、まずはそこにある近い未来のために、語ってゆこうと思います。


2.鉱工業製品のリサイクルはなんのため

 近頃、環境保全に結び付けられて語られるリサイクルですが、それを誤りと指摘する人も多くいます。リサイクルに要する手間と費用はゼロではありません。天然資源から鉱工業製品を生産するに要する手間と費用を、それが下回れば、リサイクルは活発になるでしょうし、そうでないならば逆になるでしょう。
 ですが、リサイクル技術と、それを産業化する方法は、手に入れておかねばなりません。天然資源、特に地下資源は、いずれ枯渇に近づき、やがては枯渇するものも出てくるだろうからです。もちろん、100%のリサイクルなど有り得ませんから、どれだけリサイクルを徹底したとしてしても、いずれは枯渇する資源がでてきます。リサイクルとは、産業と、その産業に支えられたわたし達の暮らしを延命する方法の一つなのです。


3.労働人口の流動化は産業界全体の管理部門を集約してこそ

 非正規雇用で働く労働者の割合は、現在、3割を超えているそうです。この非正規雇用とういう労働形態の中で、特に派遣と言われる形態は、労働人口を流動化させ、それが生産性を高めることで我が国の国際競争力の強化につながると考えれてます。ですから、2004年に法律が改正され、ほとんどの職種に認められることとなりました。
 情報処理業界では、2004年に法律が改正される以前から、技術者の派遣が盛んに行われていました。それゆえに、ソフトウエア開発の看板を掲げながらも、実質の業務は人材派遣という会社が多く存在しています。
 エンドユーザーが、情報システムの仕事をある会社(元請)に発注したとます。それを受けてこの会社(元請)では、受注した仕事に必要な技術者を集めます。自社だけで賄える場合は少なく、たいていは業界内のつてを頼って、数社からかき集めることになります。そこで、元請から技術者の派遣を依頼された会社に、要求された技術を持った人材がいれば何の問題ありません。いなくて断る場合もそうです。しかし中には、自社にいない技術者をさらに他の会社から探してきて、自分の会社の技術者として派遣することがあるのです。このような場合、元請と技術者の間に2社も3社も入ることは珍しくありません。技術者が元請の要求を満たしていたならば、間に入った会社は、最初に技術者を見つけることに力を貸すだけで、後は請求書を右から左に流すことで、その技術者が派遣されている間中、売上を手にします。もちろん、こんなやり方は違法になる場合があります。
 前述のような丸投げ多重派遣は、技術者に比べて派遣会社の数が多いような状態になると、さらに助長されます。派遣会社の乱立は、産業界全体の管理部門ともいえる部分が肥大化してしまった状態です。そうなると、産業界全体での管理部門コストが上昇します。この状態で、労働生産性を上げようとするならば、労働者の賃金を下げてゆくしかありません。
 もし、派遣会社の数と役割が適正に保たれていたとするならば。言い換えると、産業界全体の管理部門としての派遣会社の役割が整理、集約されていたとするならば。産業界全体での管理部門コストは低下します。労働者の賃金を下げることなく、産業界全体の労働生産性を上げることができるのです。
 情報処理業界では、先の述べたような状態があまりにも長く続き過ぎたために、今更看板通りのソフトウエア開発に戻れない会社も多くあります。もし、こんな状態で、派遣労働の適正化、取り締まりを行えばどうなるか。おそらく、それらの会社の多くが倒産してしまうことでしょう。街に新たな失業者が増えることになるのです。派遣労働が認めらている職種全体が、このような状態に陥る前に、人材派遣産業について、改善策を実施する必要があります。そしてそれが、効率のよい製品やサービスの提供へとつながるのです。


4.金融は実態以上に市場を膨張させる

 あらゆる産業にとって、金融の果たす役割はとても重要です。金融を業務とする企業は、広く資金を集め、それを企業などに融資します。融資を受けた企業は、それを元手に事業を起こしたり、元からある事業をさらに拡張したりして、その結果として利益をあげます。そして利益をあげた企業は、融資額に利子をつけて返済することで、金融企業や、投資家に利益をもたらすのです。このように、金融は、産業を振興させる潤滑油であるわけです。
 ですが、逆方向に見てゆくと、これを債権の販売として描くこともできます。ある企業に融資することで、債権を手に入れた金融企業は、それを投資家に販売することで利益を得ることもできるわけです。この場合、融資した額面以上で債権を販売しないと利益はでませんから、当然、金融企業はそうすることになります。このようなやり方の場合、最初に融資するお金さえ用意できれば、金融企業は即座に利益を得ることが可能です。
 上記のような、債権の販売という形は、お金を貸し続ける限り利益を生み続けます。しかも、融資先の業績=実態に全く関係なくです。ですから、このような状態を無策のまま放置しておくと、実態経済以上に消費が膨らみ続けます。お金を貸し続けると言う行為によって、そこから生み出し続けられる利益で。ここでもし、そうやって続けられる融資が、融資先の返済能力を越えてしまったらどうなるでしょうか。
 ちょうど今、わたし達は、その答えを経験しています。金融市場を無策のまま放置することは、いずれはやってくる破綻を、大きく成長させる結果となったのです。また、融資合戦や、今の、その結果は、産業界に長期的な視野もつ余裕を失わせているかもしれません。その上に、実体経済を越える消費は、天然資源を必要以上に消耗させていることでしょう。


5.新エネルギーは平等に

 新エネルギーの中でも、太陽光発電は、個人住宅への普及に適していると考えられています。政府や自治体から補助金が支給されるようになったことで、10年ほどで元が取れると言われるようになりました。
 しかし、太陽光発電をはじめとする、特に電力会社以外での発電となる新エネルギーの普及には、発電された電力を、電力会社が実際よりも高額で買取らないと難しいと考えられています。そして、そのためには、電気料金をあげる必要もあると。新エネルギーの普及コストを、国民に広く負担してもらおうと言うのです。
 が、これはちょっと変です。例えば、発電パネルを自宅に設置できないような、低所得者の電気料金まで上がってしまうことになるからです。その一方で、発電パネルを自宅に設置できるような人は、設置費用の元さえ取れれば、後の電気代が安くなります。これは不公平と言わざるを得ません。
 それにもし、ほんとうに元が取れるレベルに太陽光発電が達しいるのならば、電力会社が多少の報酬を支払って一般家庭に設置し、発電した電力を、今まで通りに電力会社が売ればよいのです。これならば、容易に低所得者の住宅や、集合住宅にも発電パネルを設置できます。一般家庭の負担がゼロになるばかりか、多少のお金まで貰えるのですから。ほんとうに元が取れるなら、このやり方は可能です。個人家庭の経済規模で元が取れるならば、電力会社の経済規模でも、当然、元が取れるはずだからです。そして、この方法は、一挙に太陽光発電を普及させることになるでしょう。ほんとうに元の取れるレベルに、太陽光発電が達しいるのならば、ですが。


6.おわりに

 効率的な生産は、効率的な原材料の調達、高い労働生産性、適正な投資、適正なエネルギー利用によって実現されます。環境負荷も小さくなることが期待できます。しかし、決してゼロになることはありません。それでも、より小さく。現実的に。確実に。
 それは、産業の発展によって環境が保全される、そんな仕組みではありません。それが実現できない分野もあるのだと、そのことを知って、なおかつ現実的な選択をすることが、わたし達に求められています。




2009年06月17日 辻井 豊
2009年06月18日 節の番号を修正 8→6 辻井 豊

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