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「釣り人の社会的地位を向上させる一つの方法」
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「釣り人の社会的地位を向上させる一つの方法」
〜教育現場に釣り人の社会活動の場をリンクさせる〜

1.その他大勢の存在

 釣り人が社会的な活動に参加すれば、行政や研究者、市民団体とのパイプができます。そしてそのパイプは、釣り人が、外部へと発言する際の足がかりになります。このような活動を続けて行けば、釣り人が発言できる機会は増えてゆくでしょう。しかし、発言できる機会が得られることと、発言が聞き入られることは必ずしも同じではありません。

 釣り人の発言が聞き入れられるためには、発言する場で、釣り人がどれだけ信用されているか、そこが鍵になります。ここで重要なことは、社会活動に参加しない釣り人の存在です。その中には、無知からくるモラル違反者や、確信犯的な無法者もいるでしょう。そしてまた、社会活動には参加していないけれども、遵法意識の高い人もいるでしょう。

 平成15年にまとめられた第11次漁業センサスによれば、1年間ののべ遊漁者数は、およそ2000万人です。これは、漁業者や遊漁案内者を通じてまとめた数字です。また、釣り人だけの数字ではありません。

 ここで、仮に1週間に2回のペースで、1回あたり100人規模の釣り人が参加して社会活動を行なうとします。そうすれば、年間のべ1万人の釣り人が社会活動に参加することになります。1週間に2回のペースで、1回あたり100人が参加するとすれば、全遊漁者数の0.1%程度のオーダー。その100倍の、1週間に2回のペースで、1回あたり1万人が参加するすれば、全遊漁者数の10%程度のオーダーとなります。

 釣りは、子どものかくれんぼのような、たわいの無い遊びと同列のものから、旅行と同じ感覚のレジャーまで、多様な面を持っています。このような遊びである釣りで、1週間に2回のペースで、1回あたり1万人もの釣り人が社会活動に参加するような状況は、想像することさえ難しいことです。仮にそれが実現できたとしても、そこに参加しない人たちの割合のほうが、参加する人の10倍も多いのです。その他大勢の存在が、どれほど重要か、これでご理解いただけると思います。釣り人の集まりに顔を出さないような、ごく普通の釣り人。その人たちの存在、その人たちのモラルの向上こそ、釣り人の地位向上の鍵を握っているのです。


2.その他大勢のモラルを向上させる方法は?

2−(1).携帯電話のマナー向上方式

 電車内での携帯電話のマナーは、以前よりは少しは改善されているように見えます。電車内で頻繁に行なわれる車内放送、メディアを通じた広告。同じ様なことを釣りで実現するためには、釣り場へのアナウンス設備の設置、メディアの広告枠の買い取りが必要になります。釣りメディアはたくさんありますが、そこへの広告だけでは役に立ちません。なぜなら、読み飛ばされるからです。釣り雑誌を読んだことのある方なら、心当たりがあると思います。


2−(2).教育現場に釣り人の社会活動の場をリンクさせる

 義務教育課程は、国民のほぼ全てが通過します。そこでのマナー教育は大きな役割を果たすでしょう。しかし、現在の疲弊した学校現場で、それを効果的に行なう余力があるのか、それはとても難しいことです。地域の釣り人が協力するなど、釣り人の社会活動の場とリンクさせる必要が出てきます。


2−(3).割れ窓理論の実践

 ニューヨーク市で治安改善に効果を上げた割れ窓理論をご存知の方は多いと思います。落書きを消すことばかりが有名ですが、実際に行なわれたことは、警察の人員を増やし、軽犯罪を徹底して取り締まったことでした。法律を破れば必ず捕まる。それを徹底することで効果を上げたのです。罰則の無い規制や、何度も注意されないと罰せられないような規制は、法律を破っても捕まらないとする印象を与えてしまいます。そこから生まれるものがモラルハザードです。罰則の無い規制や、何度も注意されないと罰せられないような規制、これらを廃止したり、現実的に施行できるよう、きめ細かに作り変え、法律を破ったら確実に検挙されるように制度を整備することこそが、モラルの向上につながるのです。ニューヨーク市の治安は改善されました。そのことこそ、これの証明です。


3.釣り人の社会的地位を向上させる一つの方法

 携帯電話と同じやり方は、今の遊漁行政や、釣り業界にはほとんど望めないことです。また、割れ窓理論の実践は、行政と司法の仕事であり、釣り人は要望することしかできません。

 あと一つのやり方、教育現場に釣り人の社会活動の場をリンクさせる。その為には、釣り人が、行政や地域と協力できなければなりません。しかし、そこには、釣り人全ての統率が必要とはなりません。一握りでもいいのです。たとえ一握りの釣り人であっても、その人たちが、行政や地域の信頼を得ることができたならば、釣り人の社会活動を教育現場にリンクさせることができるはずです。このことは、釣り人による社会的コストの負担でもあります。そしてなにより、教育現場を通じて、圧倒的なその他大勢にも影響を及ぼすことができるようになります。

 教育現場に釣り人の社会活動の場をリンクさせる。これこそが、釣り人のモラルを向上させ、釣り人の地位を向上させる、その為に、釣り人自身からアプローチできる、最も現実的な方法なのかもしれません。もちろん、そんな教育現場を巣立った子ども達や、そこから感化された大人達が、釣りを通じて水辺に親しんでくれるような、そんな社会にならなければなりません。それが実現できて初めて、釣り人の社会的地位は劇的に向上するでしょう。長い時間と、地を這うような努力の結果として。


2007年06月04日 辻井 豊

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