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「魚の人工採卵の話」
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「魚の人工採卵の話」
〜ハクレンの脳下垂体接種法〜


 魚を飼育環境下で産卵、孵化させることができれば、その魚の完全養殖に一歩近づいたと言えます。飼育環境での産卵、孵化ができただけで、完全養殖が成立したと言えないわけは、孵化した仔稚魚の飼育がとても難しいからです。それでも、完全養殖を目指すのであれば、人工産卵(人工採卵)技術の確立は必要不可欠です。

 魚の中には、飼育環境下で簡単に産卵してくれるものもいれば、そうでないものもいます。飼育環境下で産卵させることが難しい魚には、産卵生態そものが解明されていないものと、解明されてはいるのだけれど、飼育下では産卵環境を再現することが難しいもの、などがあります。前者の代表はアカメでしょう。後者の代表の中には、かってはハクレンがありました。

 ハクレンを始めとする中国四大家魚、すなわちハクレン、コクレン、ソウギョ、アオウオは大河を遡って産卵し、卵は流れを漂いながら、海に達するまでに孵化し、仔稚魚の成長に適した環境へとたどり着きます。卵が水面を漂いながら孵化するからといって、広大な水面がありさえすえばいいと言うわけではないようで、琵琶湖・淀川水系では産卵行動が観察されていないようです。日本では、利根川だけで、自然産卵が確認されています。

 そんなハクレンですが、人工的に産卵させる技術が、すでに確立されています。その技術とは、ハクレンに、ハクレンの脳下垂体を接種する方法です。この方法は、ハクレン以外にも、ソウギョやナマズ、ウナギ、その他多くの魚に試験され、人工採卵に成功しています。ソウギョやナマズでは、実用化されてもいます。

 ハクレンの脳下垂体接種法で興味深いのは、ウナギでも効果があることです。また、ウナギの人工採卵には、サケの脳下垂体を投与する方法も試験されているようです。これら、ハクレン、ウナギ、サケは、特徴的な産卵回遊をする魚種です。

 アカメの産卵生態は、現在のところ(2007年02月14日現在)解明されてはいませんが、産卵回遊をするだろうとする推論もあります。ウナギのように南海上で産卵し、孵化した仔稚魚は、黒潮にのって各地の生息地にたどり着くという推論です。

 現在、アカメの人工採卵についての研究が行なわれています。どのような方法が試されているのかは、わたくしは確認しておりません。ハクレンの脳下垂体接種法は、すでに試験されているのかも知れません。試験した結果、上手くゆかなくて別の方法を試されているのかも知れません。

 アカメの人工採卵。もし、この技術が確立されれば、アカメの完全養殖に一歩近づきます。それが実現し、釣り人だけでなく、アカメを飼育している人たち、飼いたいとあこがれている人たち、その他、たくさんのアカメファンにとって、朗報となることを祈っています。


2007年02月14日 辻井 豊


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