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「とある掲示板への投稿」
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「とある掲示板への投稿」
〜「ダーウィンの悪夢」を外来種問題への啓蒙としか考えられない人たちを生み出した外来種問題への啓蒙活動、それに関わった者は恥じ入るべき〜


辻井 豊  映画「ダーウィンの悪夢」 2007年01月12日(金)20時31分04秒 http://www3.ocn.ne.jp/~yugyo/


 随分とご無沙汰しておりました。

 本日、映画「ダーウィンの悪夢」を観てきました。この映画は、かってそこに生息していた魚類の豊富さと、それを生み出した進化の道筋から、ダーウィンの箱庭と形容されるビクトリア湖に、肉食漁のナイルパーチが放流され、それが人々の生活にどのような状態をもたらしたかを描いたドキュメンタリーです。

 映画では、日本に住むわたしから見れば、救いの無い悲惨さとも思える状況が、ショッキングな映像で淡々と綴られて行きます。ヨーロッパではナイルパーチのボイコットが起きたり、それを受けて映画の監督が、そんなことをやって貰うために映画を作ったのではないとコメントしたり。他方、映画で描かれている状況を、あの描き様ほど実際は深刻ではないとする見解もあったり、また舞台となった国の政府が、映画の公開に抗議するなど、賛否両論あるようです。

 我が国では、この映画を、外来種問題の啓蒙映画とでもいった位置付けで紹介したり、コメントする人たちが多くいます。例えば、ネットで"ダーウィンの悪夢" "ブラックバス"で検索すると、そのようなコメントが無数にヒットします。メディアの紹介にも、そのような傾向が見られます。

 しかしながら、わたしがこの映画を見て抱いた感想は、外来種問題などとはかけ離れたものでした。

 この映画を実際にご覧になられた方にはお分かりでしょうし、同じ様なことがパンフレットにも書かれていますが、この映画では、適者生存というキーワードをモチーフに、グローバリズム、ビクトリア湖のナイルパーチ、ビクトリア湖周辺で繰り広げられる人と人との間の弱肉強食が連結され、描かれています。湖の中で何が起きているかは、ほとんど描かれません。漁業関係のワークショップを取材した場面の中で、そこで流されたビデオ映像が流れるくらいです。それ以外は、ただひたすらに、人と人との間で繰り広げられる弱肉強食が描かれています。

 適者生存とは進化論の根幹です。この映画は、ダーウィンの箱庭と言われるビクトリア湖で起きた悪夢としてよく紹介されますが、適者生存至上主義(ダーウィニズム)によってもたらされた悪夢と紹介したほうがずっと的を得ていると感じます。

 ところが、この映画は外来種問題の啓発映画であると、そんなふうに受け止められるコメントが、今、溢れています。映画を見てどんな感想を抱こうが、それは人の勝手です。しかしながら、とわたしは思うのです。この映画を、そんなふうにしか捉えられない人が、たくさんいるのには、外来種問題の啓蒙と、それを行なってきた方々、わたしを含めて、それに尽力してきた人たちのやり方に誤りがあったのではなかったのかと。もし、そうならば、これは恥じるべきことです。外来種問題の啓蒙に力を尽くしてきた者であるのならば、そのことに責任を負わなければなりません。

 この映画をめぐる動きだけではなく、淀川の城北わんどをめぐる報道にも、外来種問題の啓蒙は、これでよかったのかと感じさせるできごとが、昨年ありました。外来魚の駆除は、外来魚を減らし、在来生物を増やし、環境を改善させることが目的であったはずです。しかしながら、外来魚を駆除する、その行為を行なうことだけが、目的となりつつある、そんな傾向があるのです。外来魚憎し、バス釣り憎し、あまりにも、そこだけが強力に広まりすぎました。悪者を見つけて、馬鹿野郎と罵る行為だけに、なにか意味を見出す。そんな人たちが見受けられるようになりました。

 この映画を見て、外来魚駆除を支持する世論と、その世論を形成すべく尽力してきた人たちのやり方に、疑問を感じてしまいました。


 わたしが開設しておりますサイトに、この映画についてのコメントを緊急メッセージとして掲載しています。また、この文中で述べている、淀川における城北わんどをめぐる問題も、「淀川大堰を取り上げないメディア」と題してサイトに記事を掲載しております。もしよろしければ、ご覧になって下さい。

 乱文、失礼いたしました。


「遊漁施策とは何か」
 米国の遊漁施策であり、実績をあげ、環境保全の分野でも高い評価を得ている「D−J法」を参考にした、遊漁施策の私案を公開しております。また、他ではなかなか読むことができないような資料を中心にした、外来魚問題他の資料集も併設しております。

http://www3.ocn.ne.jp/~yugyo/


参考:
「ダーウィンの悪夢」公式サイト
http://www.darwin-movie.jp/

「カトリック新聞」
http://www.cwjpn.com/kiji/3889/1p-tanzania_fujioka.htm




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