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「「オオクチバスによる食害発生のメカニズム」について他の文献からのデータ」
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「今日の資料」


 先日の「今日の資料」の冒頭で触れました、大阪府淡水魚試験場が実施したアユの陸封試験と、淀川の調査について、以前も少し触れましたが、今回は先日の「今日の資料」と関連する部分を抜粋、引用もしくは要約して示します。


 まず、アユの陸封試験について。これは以下の報告書に掲載されています。

「大阪府淡水魚試験場業務報告 昭和57年度」昭和59年3月発行
・アユの増殖試験,I.ため池・人工湖におけるアユの再生産(P.40-44)

 この試験は、1982年9月から1983年7月にかけて、大阪府下の滝畑ダム、稲倉池、白旗池で実施されました。この三つの水域のうち、滝畑ダムと白旗池にはオオクチバスが生息していました。三つの水域に産卵親魚となる湖産アユを放流し、さらに産卵行動がみられなかった白旗池には発眼卵の放流もおこなわれました。なお、各水域では、魚類調査、水質調査も平行して実施されました。
 各水域での孵化仔稚魚の量は、採捕調査の結果、滝畑ダムでは推定8,200,000尾、稲倉池では推定670尾、白旗池では0尾でした。白旗池で仔稚魚が確認できなかった理由として、他の2水域と比較して面積が小さかったこと、冬季の水温が比較的低かったこと、そしてオオクチバスが多数存在していることが考えられるとしています。また、滝畑ダムでは湛水後1年にもかかわらず湖内のオオクチバスは3年魚が主体で、放流されたものと考えられるとしています。この試験は、オオクチバスの研究が目的ではないので、仔稚魚の発生とオオクチバスとの関係については、これ以上詳しくは触れられていません。しかし、オオクチバスの存在が、アユの仔稚魚の生残に影響を及ぼしている可能性と、さらにそれが、オオクチバスの魚齢(体長)とも関係があるかもしれないことを示唆しているかもしれない興味深い例です。


 次に、淀川での調査について。これは以下の報告書に掲載されています。

「大阪府淡水魚試験場研究報告 第9号」昭和62年3月発行

 淀川の魚類相と生息状況を、昭和58年から60年にかけて調査したものです。淀川および流入河川の非常に精密な調査の報告です。植物・動物プランクトンや流下昆虫、仔稚魚の生息状況魚や流下状況そして魚類相などを非常に詳しく調査しています。魚類の体調組成や出現時期、頻度、生態、オオクチバスについても採集日、体調、体重と合わせて摂餌内容物と充満度指数の一覧表が、また体調と胃内容物重量の関係が分析されています。遊漁についても、地域分布や季節変化など非常に詳しい調査がなされています。この調査は幾つかの項目を整理した後、後年も継続されてゆきます。
 この報告書の、付表II-10 オオクチバスの摂餌内容物と充満度指数,付図III-1 オオクチバスの体長と胃内容物重量の関係、からは、体長10cm未満の個体のほうが、より大型の個体よりも胃の充満度が高く、大型個体ほど低いこと、また採捕された個体は10cm未満のものが多数であること、エビと魚類が胃内容物のおもたるものであることがわかります。


 これら二つの資料からは、オオクチバスの存在が、他の魚の仔稚魚の生残に影響をおよぼしている可能性と、体長10cm未満の個体による捕食が、オオクチバスの他の生物への影響を推定するにあたって重要なことがわかります。これらのことは、沖縄県の大城ダムの調査によって得られた知見と一致します。



 そして、もう一つ、「皇居日比谷濠におけるオオクチバス仔稚幼魚の食性と形態の変化」舟橋信行・鈴木緑・内田直樹・河野博・茂木正人・邑井徳子・今井仁・久保田正秀(2003年)に記載されている、体長による食性の変化や、空胃率などのデータからも、6cm〜10cm未満の小型個体は空胃率が低く、魚類を多く捕食していることがわかります。

 オオクチバスが他の魚類へ及ぼす影響を調査、推定する場合、小型個体のふるまいが、大型個体のそれよりも、より重要なことが、大城ダムの調査結果と、ここに引用した三つの文献から言えるのかもしれません。


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