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「書籍紹介」
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「今日の資料 その1」


「養魚講座 5 ヘラブナ・ドジョウ・スッポン・ブラックバス」

 緑書房
 昭和49年3月15日 初版発行
 平成6年9月20日 12版発行

・著者紹介(肩書は当時)
 川村厚生:大正12年農林省水講卒業 元大阪府淡水魚試験場長
 大塚正太郎:大正4年広島大学卒業 元大阪府淡水魚試験場員
 石田力三:昭和29年東京大学卒業 元淡水区水産研究所員
 梶純夫:昭和19年函館水産専門学校卒業 現焼津水産高校教諭
 鈴木規夫:昭和30年東京水産大学卒業 元神奈川県淡水魚増殖場員

 この書籍は、発行当時、ブラックバスについて網羅的にまとめた唯一の参考書であったようです。ブラックバスの部分は、アメリカ、芦ノ湖、神奈川県水産指導所淡水魚増殖場の調査研究を引用する形でかかれています。それ以外に情報源が無かったのです。この書籍が発行された当時から以降、いくつかの書籍にブラックバスの養殖について触れられている部分がありますが、それらには、ほとんど内容がありません。共通しているのは、魚食魚ゆえに慎重に取り扱わなければならないと言う記述だけです。また、釣業界の方が書かれた「ブラックバス移植史」も、この書籍を一部参考にしています。当時の書籍には、ブルーギルの養殖について書かれたものもありますが、それらの記述は、大阪府淡水魚試験場の調査研究を引用する形で書かれています。当時、淡水魚における新魚種移入の研究では、淡水区水産研究所、神奈川県水産指導所淡水魚増殖場、大阪府淡水魚試験場が最も進んでいました。


 以下にブラックバスについて書かれている部分の構成を示します。

ブラックバス(P.233-247)
はじめに(P.235-236)
1.移植の歴史と経過(P.236)
2.種類と習性(P.236-239)
(1).種類(P.236-237)
(2).形態(P.237)
(3).芦ノ湖における移動(P.237)
(4).産卵習性(P.238)
(5).食性(P.239)
3.増養殖(P.239-246)
(1).親魚と採卵(P.239-241)
(2).ふ化(P.241-243)
(3).稚魚期の養殖(P.243-244)
(4).成魚の飼育(P.244-246)
4.成長(P.246-247)
あとがき(P.247)
文献(P.247)
1) 片岡群(1958)神奈川県水指事業報告昭和33年度
2) 畑久三・武田一雄(1941)水産学雑誌No.48
3) 宮崎県淡水魚業指導書(1959)ブラックバス 赤星鉄馬遺稿
4) Davis, H.S. (1953) Culture and Disease of Gamefish.
5) 稲葉伝三郎(1954)日本水産学会講演
6) Wurtr-Arlet (1952) La Black-bass en France. Ann. Stat. D'Hydrobo. Appliguee 4
(稲葉伝三郎訳 (1956)水産増殖四(一)抄録から引用)
7) Regiev, H.A. (1962) P.F.C 24 (3)
追記(P.247)


 以下、「今日の資料 その2」へ続きます。




「今日の資料 その2」


 「今日の資料 その1」からの続きです。
 以下に、国内における養殖の実例について書かれている部分を抜粋します。

***以下引用***
引用1(P.235)
〜神奈川県水産指導所、同淡水魚増殖場では1955年から試験的に稚魚、親魚を飼育し採卵、ふ化を行っている〜

引用2(P.244-245)
〜稚魚期以降の養魚池内での成魚の飼育については、ブラックバスが前述のように魚食性が非常に強く天然の河川湖沼に逸散した場合には魚類に対する食害が考えられるので、現在では試験研究等の用途以外は芦ノ湖からの移植を行っていないため、日本において養殖を行っている例はない。神奈川県淡水魚増殖場では水路の取水、排水部に飼育し、流入河川から流入する雑魚類を捕食させて飼育している〜

引用3(P.246)
〜成魚の池中養殖についてはほとんど例を見ないが、1956年に面積3,000坪のコイ稚魚生産池に6月22日から全長1〜3cmのブラックバス稚魚を混養し、140日間飼育した結果では生残率は著しく低いが、平均全長12.7cm、体重38.4gに成長している。また、同じ池を用いた1957年の例では飼育期間157日で全長1.5〜2.0cmの稚魚が17.4cm、78.7gに成長している〜
***以上引用***

 引用1の詳細が、引用3にあたります。この養殖については、「ブラックバス移植史」で相模湖・津久井湖におけるブラックバスの侵入経路について記述している部分(P.57-58)に、ほぼ同じ記述があります。コイ稚魚を相模湖に放流した際、このブラックバスが混入したとする証言は、当時の淡水区水産研究所の徳永英松氏によるものです。引用2の部分は、先の紹介した水口氏の著作にある部分かと思われます。




「今日の資料 その3」


 1960年代から1980年代初頭にかけて出版された書籍のうち、ブルーギル、ブラックバスの養殖について触れられているものを幾つか紹介します。


「淡水増殖学」 稲葉伝三郎

 恒星社厚生閣
 昭和36年6月20日 初版発行
 昭和37年6月30日 再版発行
 昭和38年6月10日 三版発行
 昭和39年7月15日 四版発行

24・3・4 ブラックバス(P.298-299)
*.内容に乏しい。


「淡水魚養殖相談」 石田力三 他

 農山漁村文化協会
 昭和50年6月15日 第1刷発行
 昭和54年7月16日 第9刷発行

 ブルーギル(P.223-229)
*.大阪府淡水魚試験場の調査研究をもとに書かれています。現在、書店で販売されている改訂版にはありません。


「淡水養殖技術」 野村稔 編

 恒星社厚生閣
 昭和57年6月15日 初版発行

4・2・4 ブルーギル(P.340-342)
*1.あまり詳しくは書かれていません。以下の記述があります。
*2.また、この書籍には、琵琶湖におけるブルーギルは、滋賀県水産試験場が真珠養殖の試験を実施した際に流出したものであることが書かれています。
***以下引用***
(P.342)
〜釣魚の対象魚として、また魚類増殖の目的で放流される。天然水域では静岡県、一碧湖(文献7),徳島県、松尾川湖,高知県、長沢湖,大橋湖,宮崎県、一つ瀬湖(文献8)など〜
***以上引用***
(文献7) 丸山為蔵・横手方・古田能久:淡水研,プリント,1〜15,(1966)
(文献8) 丸山為蔵・古田能久・平林秀則:淡水研資料,Bシリーズ,No.13,1〜38,(1972).

4・2・6 ブラックバス(P.346-349)
*.内容に乏しい。



 以上が、今日の資料です。研究機関が、ブラックバス、ブルーギルなどの養成試験などを実施していれば、その内容が記録に残ります。水槽飼育レベルなど、予算をほとんど消化しないものであれば、記録に残らない可能性があります。しかし、その場合、流出の可能性はとても少ないでしょう。大阪府淡水魚試験場、滋賀県水産試験場とも、設立以来、多くの魚種の養成試験(いわゆる増殖、養殖)を実施し、それらが記録に残ってますが、ブラックバスについての記録はありません。


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